12月1日(金)、12月2日(土)の日程で福島復興支援 視察交流ツアーを行い、とやま生協の組合員と役職員の計28名が福島を訪問しました。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、組合員が参加する形での訪問は4年ぶりとなりました。
この視察交流ツアーは、「東日本大震災を忘れない、風化させない」ために、震災発生後の2012年から行われてきました。現地を訪れて交流することで、被災地ではいま、どのような問題に直面しているかを知り、今後の支援のありかたを考えることが目的です。今回も、震災発生時に起こったことや被害の大きさを学び、ふくしまの方々がどのような思いで復興を進めてきたかに思いを馳せました。
最初に訪れたのは「夜ノ森のさくら並木」。全長2.2kmの桜並木ですが、東京電力福島第1原発事故により大部分が帰還困難区域に指定されており、2022年の立ち入り規制緩和まで歩いて鑑賞することができませんでした。現地を歩けることに少しずつ進んでいる復興の様子を感じ、満開のころの桜を想像しながら桜並木を散策しました。
その一方で、原発事故の影響を強く受けた町は、まだまだ復興が進んでいない現状もあります。福島第一原発にほど近い双葉町は、2022年8月30日に避難指示が解除されましたが、ほとんどの住民が帰還できていない状況にあります。双葉駅前には震災や津波で家屋がそのまま放置されている光景も見てとれました。今なお残る震災の跡に参加者のみなさんも心を痛めました。
「東日本大震災・原子力災害伝承館」の見学では、実際の津波や原発事故の映像を見ながら説明を受け、改めて震災時の様子を学びました。街に迫りくる津波の高さ、速さに驚き、その迫力に参加者も息をのみました。
その後、震災遺構として公開されている「浪江町立請戸小学校」も見学しました。請戸小学校には震災、津波の跡が色濃く残されており、「こんな高さまで津波が来たんだ」との驚きの声や、「階段に残る英単語の掲示物から、当時の子どもたちの日常が少し見えるね」と失われた学校での日常に思いを馳せる声があがりました。
請戸小学校は大きな被害を受けながらも、子どもたちは全員無事に避難できた”奇跡の学校”とも呼ばれています。当時の避難状況や、子どもたちが避難した大平山を眺め、被災時の行動の大切さを痛感しました。
2日目は、相馬市にある「松川浦大橋」に足を運び、橋のたもとから見学しました。震災発生後、この橋にかかるくらいの高さまでの巨大な津波が相馬市を襲いました。橋を見上げながら、「こんな高さまであったら絶対逃げられない」「いくら見学しても現実にあったとは思えないくらいの凄まじさ」との声が聞かれ、参加者のみなさんは津波の恐ろしさの一端を肌で感じました。
買って支える取り組みにつなげるため、福島市飯坂町の「あづま果樹園」でりんご狩りを行いました。収穫体験を行ったのは大きなサンフジ。みなさん、楽しそうに「どのりんごにしようか」と果樹園を歩いて回り、りんごに手を伸ばしました。採れたてりんごの試食もさせていただき、シャキシャキで自然な甘みが広がるおいしさに、くだもの王国・ふくしまの魅力を感じました。
2日間の視察交流ツアーを通して、参加したみなさんから「10年以上経ったが、まだまだ復興が進んでいないと感じた。自分の目で見て、感じて、人に伝えていかなければならない」「ふくしまは地震があって、津波があって、原発があって、マイナスからのスタートだったのにここまで復興してきたんだと感じられた。これからも応援していきたい」などたくさんの感想をいただきました。
震災発生から12年。少しずつ復興が進んでいると感じられる場所もあれば、原発事故の影響が強く残り、復興がままならない場所もまだまだあります。自分の故郷に帰りたくても帰れない方も多く、ALPS処理水海洋放出など、被災地のみなさんにとって、”3.11”は今なお直面し続けている問題であることを強く感じました。
それでも、ふくしまの人々の「震災前よりももっといい街にしたい」というふるさとへの強い想いがあったからこそ、ここまで復興が進んできました。
とやま生協はこれからも、その想いに寄り添い、少しでも前に進んでいけるよう支援を続けていきます。